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    1.落射蛍光観察法と全反射照明蛍光観察法のちがい

    様々な機能性蛍光試薬(イオン感受性蛍光試薬やCaged化合物*1など)や蛍光性蛋白質(Green Fluorescence Proteinなど)の開発により、分子・細胞生物学の研究において蛍光顕微鏡がひとつの重要なツールとなっています。蛍光観察の原理は、一般的に蛍光性のない生物試料に蛍光物質を導入し(もしくは蛍光性蛋白を発現させ)、観察対象となる分子や構造を「光る画像」としてとらえることです。

    従来の蛍光観察としては「落射蛍光観察法」がありましたが、さらなる観察法として「全反射照明蛍光観察法」が注目を集めています。二つの観察方法の大きな違いは、「落射蛍光観察」では光軸方向全体に励起光を照射し、その中で発する蛍光を観察するのに対して、「全反射照明蛍光観察法」ではその励起光を光軸方向全体ではなくカバーガラス近傍のごく限定された領域(次項図2参照:カバーガラス表面から100nm程度)にのみ発生させ(エバネッセント光:次項に詳細)、その限定された領域における励起により生じる蛍光現象を観察するという点です。そのような特殊な励起方法を用いることで、境界面近傍でのみ起こる現象の画像化や背景光の少ない高感度な蛍光分子検出が可能となります。

    複雑な説明の前に実際の細胞での観察例を示します。下図A・Bに示す画像は、通常の落射蛍光観察と全反射照明蛍光観察法を比較した画像です。2つの画像は同じ試料を異なった励起方法で観察しており、落射照明では細胞全体が強く光っているのに対して全反射照明画像では細胞の先端部のみが励起されていることが分かります。これは、細胞の先端部分がカバーガラスに密着し、その部分に蛍光染色されたアクチンフィラメントが存在していることを示しています。

    対物レンズの瞳位置

    境界面近傍での限定された領域における励起のために用いられる特殊な光である「エバネッセント光」がどのようなものかを説明します。

    図1に示すように、屈折率の異なる媒質の一方から界面に対して光を入射させると、入射角が小さい場合は透過光と反射光の両方が発生し、その入射角と屈折角の関係は、スネルの法則*2)と呼ばれる関係となります(図-1A)。さらに、媒質1の屈折率が媒質2の屈折率よりも大きいときに、入射角θ1を大きくしてゆくと屈折角θ2が90°に達し、それ以上の入射角に対して屈折光が観測されず、反射のみとなります(図1B)。このような現象を「全反射」とよび、屈折角θ2が90°になる入射角θcを臨界角(critical angle)と呼びます。このような全反射状態では、媒質1と2の界面から媒質2側へ指数関数的に減衰する電磁場(定在波)が生じ、このように全反射からしみだす場を「エバネッセント場(光)」と呼びます(図2)。

    全反射面からしみだす場の領域(深さ)は理論的に次式のように表されます。

    d = λ /4π〔n 12・sin 2 θ-n 22〕1/2
    (但し θ>θc 臨界角:θc = Sin-1(n2 /n1))

    d(nm):光の強度が1/eとなる界面からの距離
    λ(nm):入射光の波長
    n1:溶媒1の屈折率
    n2:溶媒2の屈折率
    θ:入射角

    これらの式に顕微鏡下で一般に使用される値
    (n 1 :n ガラス = 1.52、n 2 :n = 1.33) を代入すると、入射角(75°)にてd = 0.128 x λとなることが分かります。顕微鏡で使用される波長を400~700nmとすると、入射角によって大きく値に幅を持つことになりますが、50~150nm程度の狭い領域にのみエバネッセント光が染み出すことが分かります。光の波長と比べても、エバネッセント光のしみだす領域(深さ)は非常に小さいことが分かります。このようなエバネッセント光を蛍光物質の励起に利用するというのが全反射照明蛍光顕微鏡の特徴となります。

    *2スネルの法則とは:波が屈折率n1の均質等方性の媒質から屈折率n2の均質等方性の媒質に入って屈折する場合、屈折波の(波面法線の)方向は入射面内に含まれ、かつ入射角をθi、屈折角をθrとしたときsinθi/sinθr = n2/n1が入射角によらず一定であるという法則。光の場合については、1621年スネルが実験的に見出したのでこの名がある。屈折の法則ともいう。(以下省略)(理化学辞典 第4版 岩波書店)

    3. プリズム利用型と対物レンズ利用型

    顕微鏡下において全反射照明観察を行なう場合には、主に2種類の光学配置が用いられています。ひとつは、プリズムを利用して光学系を組み、レーザ光を導入することにより全反射をカバーガラス界面に発生させ、その照射領域を対物レンズで観察する「プリズム型」(図3A)(カバーガラスとプリズムの密着にはガラスと同じ屈折率を持ったオイルなどを使用する)です。もうひとつは、開口数*3 の大きな対物レンズ(NA1.45など)の対物レンズ辺縁部から試料へ向けてレーザ光を導入し、ガラスと試料の境界面にて全反射を起こし、さらにその対物レンズを観察にそのまま使用する「対物レンズ型」です(図3B)。

    プリズム利用型の利点は、比較的容易に安価で構築可能であり、油浸・水浸以外の低倍対物でも観察可能な点です。対物レンズ利用型の利点は、試料近傍にプリズムを配置する必要がないため透過観察や溶液交換・電極設置など試料操作が容易となるという点、観察視野を動かした場合でも照明領域の維持が容易である点になります。現状は、NA1.45の対物レンズと光学系が市販品として一般化されており、倒立型顕微鏡のステージ空間を活用する意味でも「対物レンズ型」が広く普及しつつあるといえます。

    *3開口数とは:光学機器で入射瞳(絞り)の半径が物点において張る角uの正弦と物体空間の絶対屈折率nとの積n×sin uを開口数という。記号はNA。顕微鏡の場合には、互いに分離して認めうる2点の最短間隔(分解能)は開口数に逆比例する。したがって高倍率で小さい間隔の2点を分離してみようとするほど開口数を大きくしなければならない。開口数を大きくするには、uとnを大きくする。Uを大きくするときは照明光も広角に焦光し、nを大きくするには液浸法を用いる。(理化学辞典 第4版 岩波書店)

    さらに、具体的に辺縁部の大きさを計算してみると以下のようになります。

    60X、NA1.45の対物レンズとして計算(結像レンズの焦点距離は200mmとする)
    Δr eva = r NA - r sample
    = f obj x NA obj - f obj x NA sample
    = (f tube /M) x NA - (f tube /M) x n sample
    = 200/60 x 1.45 - 200/60 x 1.33
    = 0.4(mm)
    対物レンズの後方焦点面での全反射照明領域:Δr eva
    対物レンズの後方焦点面の半径:r NA
    対物レンズの開口数:NA 1.45(弊社60X TIRF)
    試料が水溶液中に存在する場合の対物レンズの後方焦点面の実行半径:r sample
    試料が水溶液中に存在する場合の実行開口数:NA sample 1.33(水を想定)
    対物レンズの倍率:M 60
    顕微鏡結像レンズ焦点距離:f tube 200mm
    対物レンズの焦点距離:f obj 200/60=3.33mm
    試料(水)の屈折率:n sample 1.33(水を想定)

    NA sample = n sample についての補足説明

    試料側から対物レンズへ光を入れようとしたときの入射最大角度は上記の条件では屈折率の低い媒体(水:1.33)から高い媒体(ガラス:1.52)となるため90°(=θ max )ということになります。

    つまり、試料側(水)でのSinθmax = 1と計算されます。そこで、開口数の定義 *3をこれにあてはめるとNA sample = n sample x Sinθ max = n sample x 1 = n sample となります。

    辺縁部の幅は試料の屈折率の想定などによっても若干値が変わりますが、約400μm幅となります。小さいように感じるかもしれませんが、レーザを上手く集光させることにより散乱などのない全反射画像を得ることができます。さらに、焦点位置を後焦点面内で移動させることにより、落射照明と全反射照明をすばやく切り替えることができることも提唱されています(ページ下部の参考文献を参照ください)。

    *4 後焦点面とは:対物レンズの瞳とも呼ばれ、対物レンズの胴付から少し内側に入った位置になります。その位置は対物レンズによって異なります。

    5. 全反射照明による観察例

    蛍光観察としてのエバネッセント顕微鏡の応用は、日本の研究者によって推し進められている部分が大きく、それらの応用範囲も擬似生体(in vitro)系での分子の挙動観察から細胞骨格の構造変化や細胞内信号伝達までと様々な分野に広がっています。以下にいくつかの観察例を紹介します。

    表面反射干渉観察像

    落射蛍光装置を用いた簡易型の表面反射像観察法の画像です。黒く見える部分がガラス面と近接していることを意味し、黒く細長い斑点はパキシリン分子(すなわちFocal adhesion)の局在と一致する事がわかります。表面反射干渉画像と全反射照明蛍光観察画像を比べることにより、ガラス面近傍領域の同定が可能となります。

    作例ご提供:小畑秀一先生(北里大学 一般教育部 自然科学教育センター生物学教室)

    Axelrod D., Total internal reflection fluorescence microscopy, Method in Cell Biology, 30, p245-270 (1989)

    鶴田匡夫:『応用光学I』, p37-42, 培風館(1990)

    Funatsu T. et al., Imaging of single fluorescent molecules and individual ATP turnovers by single myosin molecules in aqueous solution, Nature, 374, p555-559 (1995)

    「光による究極の操作・観察」,『生命科学を拓く新しい光学技術』, 日本光生物学協会編, 共立出版, p135-173 (2000)

    「表面のみを高画質に観察できる全反射蛍光顕微鏡法」, 『バイオイメージングでここまで理解(わか)る』楠見明弘・小林剛・吉村昭彦・徳永万喜洋編, 羊土社, p104-113(2002)